I miss you , Michael.

音楽を聴き始めた80年代、マイケル・ジャクソンの存在は、マドンナ、プリンス、スティービー・ワンダーフィル・コリンズビリー・ジョエルシンディー・ローパーブルース・スプリングスティーン、ダイヤストレイツ、ポリス、バン・ヘイレン etc etcと並んだポップスターの一人。映画のようなスリラーのMTVに驚き、クールなムーンウォークに憧れた時代。

その後、90年代のレアグルーヴ、アシッドジャズムーブメントの中で、ジャズ、ゴスペル、ソウル、R&B、ファンク、ディスコと受け継がれたブラックミュージックの系譜を知り、改めてマイケル・ジャクソンのポジショニングを認識してから聴き始めた時代。


音楽を「エンタテイメント」の側面から切り離して聴くようになってから、改めてマイケル・ジャクソンの楽曲を聴いてみると、80年代に聴いていたマイケルとは異なった輝き放っていることに気が付く。ビートを刻むようなボーカル、楽曲のクールさ。ブラックミュージックを消化し、同時代の他の誰とも違う音を響かせるマイケルのアルバム。


貧しい家庭環境で厳格な父親に育てられ、ジャクソン5でメジャーデビュー。才能豊かで繊細な少年時代をベリー・ゴーディダイアナ・ロスクインシー・ジョーンズら強者達に囲まれて育ち、エンタテイメントの頂点を極めてゆく。もし頂点を極める時代が少し前だったら、純粋に曲を作ること、歌うことに喜びを感じるアーティストになっていたかもしれない。若しくは、マドンナの様な強さ、プリンスのような職人的な生き方が出来たのなら、彼の人生はきっと変わっていたと思う。ネバーランドを築き、ファンタジーの世界に生きる必要なんかなかったのかもしれない。でも、彼はマイケル・ジャクソン。時代はエンタテイメントと音楽が強く結びつき始めていた。結局、時代(=我々)が彼のポジションを作り出し、彼はそれに応じただけなのかもしれない。


もう叶わない夢だけど、100人くらい入る小さなライブハウスで彼の歌を聴いてみたかった。スパンコールの衣装もムーンウォークもいらない。椅子に座ってアンプラグドで。


「OFF THE WALL」を聴きながら追悼。なんか、寂し過ぎるな。