村上春樹「1Q84」を読み終えて

数日前にようやく読み終えました。村上春樹さんの「1Q84
昨日のニュースで発売12日目にして100万部突破したとのこと。立ち寄った本屋さんでも完売で、Amazonでも入荷待ちになっていますね。すごっ。その100万部の内2冊(2巻なので)は僕が買った分ということですね。


僕は高校生くらいから村上さんの作品を読ませていただいていて、新作が出るとだいたい手に取っているので、かろうじてファンの端くれなのかもしれません。「1Q84」は久しぶりの長編、しかも事前に情報が全くないということで、期待度は結構高かったです。

最初に「1Q84」というタイトルを見て思ったのは、プリンスの楽曲タイトルみたいだなぁ(プリンスは「you」を「u」にしたり、「to」を「2」と表記するので)ということと、ジョージ・オーエルの「1984」。

1984年 (ハヤカワ文庫 NV 8)

1984年 (ハヤカワ文庫 NV 8)

それに付随して、1984年にApple Computerが発売開始したMacintoshのCM。

購入前に見た新潮社のサイトには「1Q84」をとアルファベット表記してあるので、まぁ「Q」は「9」であるのだろうなぁと思ったのですが、なぜ「kyu」ではなく「kew」なのかは謎でした。(読み終わっても謎ですが)


その辺の考察はこちらにあります。
「『1Q84』と「鼠」と「オウム真理教」
発売前にコレだけイマジネーションを広げられるのってすごいですね!読後の記事も深いです。


主人公が「社会から一歩身を引いたスタンス」なのが「鼠三部作」や「ダンス・ダンス・ダンス」的。
構成が2つに分かれていて交互に進むのが「世界の終わりとハードボイルドワンダーランド」的。
新興宗教のエッセンスが「アンダーグラウンド」的。


などなど、過去の作品で語られていたテーマや要素と、その間に村上さんが体験されたり感じたりしたこと、実際に起こった出来事(歴史)など、膨大な「素材」をまな板にのせて、組み合わせ、絡み合わせ、リミックスして完成した作品。といった感じです。それに加えて表現力、構成するテクニックが加わり、テンポよく話が展開して行きます。音楽で言うなら村上さんは名コンポーザーといったところですね。


100万部も売れてしまう作家には、作品の社会性であるとか新しいヴィジョンとかを求められてしまうのでしょうが、個人的にはグイグイと引き込まれる映画や芝居のように、質の高いエンタテイメントとして楽しませてもらった感じが強いです。

「こういった表現は小説にしか出来ないんだぜぇぇ〜、どぉ〜だぁ〜!」と、村上さんのロック魂は思っているような気がします。(村上さんの言動からすると、こんな発言あり得ないでしょうが、心の奥底では、ほんの少しかもしれないけれど、そう思っているに違いない!)


小説で書かれているテーマは複層的で、僕の力では上手くバラして表現出来ないのですが、ひとつの塊として心に残る作品でした。


今回発売された「1Q84」はbook1(4月〜6月)、book2(7月〜9月)となっているので、もしかしたら、book3(10月〜12月)が出るのかもしれません。さらに1984年に縛れば、book4は1月〜3月?スターウォーズ的展開?!

いずれにしても、現在社会のありようの「何か」の起点としての「1Q84」ということであれば、まるで歴史絵巻のような作品になるのでしょうね。続編が楽しみです。

1Q84 BOOK 1

1Q84 BOOK 1

1Q84 BOOK 2

1Q84 BOOK 2