土門拳の写真撮影入門-入魂のシャッター二十二条

ホントは読み終わってから酒田の「土門拳記念館」に行きたかったのだけど、間に合わず本日読了。

土門拳の写真撮影入門

土門拳の写真撮影入門

この本に記されているのは撮影のテクニックではなく、土門拳の著述や弟子の回想録を引用しながら「写真を撮る」ことの気構えを展開しています。
(ちなみにこの本の作者は黒澤明の著述をされている都築政昭氏)
あえてテクニック的な内容があるとすると「愛用のレンズ、ジンマー300mmをF45とかF60まで絞り込んで長時間露光していた」とかくらいです。F45?F60?と思ったのですが、大判カメラにはそんな値があるのですね。


カメラを自分の身体の一部にするためのトレーニング、対象を嫌になるほど観察してから撮影に臨むことなど、絶対非演出の絶対スナップを撮るための姿勢、努力は、様々な物事に通じています。


土門拳の人生を大まかに捉えられ、写真を撮ることのスタンスを理解する上では良書だと思います。


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マチュアへのアドバイスとして、こんな言葉が残っています。
「まず、沢山撮ることから始めることである。ぼくがアマチュア諸君に、第一にすすめたいことは、一つのモチーフに食い下がって、何枚も何枚も沢山撮れということである」


デジタルが主流の昨今、36枚の制約、フィルム→紙焼きというプロセスが無くなってしまい、ある意味、お気楽な時代になりましたが、撮影することの心意気は変わらないはず。

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土門拳記念館で購入したポストカードを眺めながら、土門拳の撮影する時の気合いに思いを馳せてみます。


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そういえば、酒田の山居倉庫で地元の方と喋っていた時に知ったのですが、山形美術館でも土門拳展やってるようです。下調べ不足でした。。。2010年1月31日まで。
頑張れば日帰り可能?!いや、さすがに行きませんよ!


山形美術館
生誕100年記念写真展「土門拳の昭和」
http://www.yamagata-art-museum.or.jp/ja/kikaku/2009_11.html